サンフランシスコはとても洗練されていてたくさん刺激をもらいましたが、バークレーに戻るとなんとなく普通の暮らしがあるというか、気持ちが落ち着きます。こちらにやって来て一週間、少しホーム感が出て来ました。
<Napa Valley ワイナリーへ>
「仕事もある、けど、やっぱりカリフォルニアに来たのならワインでしょ」
ということで、Potters' Studio のメンバーでワイン通の Misako さんに Napa Valley のワイナリーを案内してもらいました。
抜ける様な青空の下に果てしなく広がるワイン畑は圧巻。
初めての本格的なワインテイスティングで少し緊張しましたが、生産者の方の説明を聞きながら、色々試飲。同じ蔵で作られたものでも、年代や品種、寝かせ方や作り手によって本当に味の広がりがあるということを知る貴重な体験でした。
谷間に点在するたくさんのワイナリーが、競ってそれぞれの唯一無二のワイン造りに力を注いでいることが、この地のワインの名を世界に広げる原動力になっているのだな、、と、感じました。
ナパは、葡萄作りに適した場所であるからこそのワインの産地。
信楽は、良質な土があったからこその焼き物の産地。
どんな物作りでも、土地との強い結びつきがある、とある種の共感も覚えました。
Misakoさん、ありがとうございました!
<Chez Panisse 憧れのレストラン>
言わずと知れた超有名店、Chez Panisse 、、、やっと来れました!
アメリカ料理業界のカリスマ、アリス・ウォーターズの店です。
私は、彼女の書いた料理エッセー本、"The Art of Simple Food"からたくさんのインスピレーションを与えてもらいました。聞いたこともない素材、知らないハーブやスパイスを使った、カリフォルニアらしいフュージョン家庭料理レシピもですが、その中に散りばめられている、食育や家庭菜園、地場産業のことなど、彼女の活動に関するちょっとしたエッセーが秀逸で、一時は毎晩寝る前におまじないのように読むのを楽しんでいたのです。
Chez Panisse の料理は、Kiln (前述の)の料理とは対極にあり、スープ、魚、肉、デザートの4皿と、とてもシンプル。一つ一つのさらにカリフォルニアの季節がしっかり詰め込まれた潔いものでした。
<Masakoさんの工房訪問>
Potters' Studioのすぐ近くで製作されている、日本出身のアーティスト、Masako Mikiさんの工房訪問。主にフェルトでオブジェを作られています。思わず側によって、触りたい、頰ずりしたい!と誘ってくる様なポップでキュートな作品は彼女そのもの。溢れ出る感性を思い切り作品に詰め込んで制作されています。表面の質感や微妙なラインなど、ディテールにとことんこだわる職人的なところなど、形は違えど哲也が作品作りで大切にしているところと共通点が多く、お互いに深く共感しあうことができました。素晴らしい友人ができて嬉しい!
<Peter Voulkos studio & gallery>
アメリカ現代陶芸界のレジェンド、ピーター・ヴォーコス氏が生前使っていた工房を案内してもらいました。作品と合わせて、交流のあった大家の作品、作業スペースや、道具、型類、膨大な書籍、写真など、活動の全てがほとんどそのまま残されていて圧倒されます。彼が活躍していた時代のエネルギーをひしひしと感じることができました、、、
<Mary Law's studio>
Potters' Studio で知り合いになった方々が、大谷さんたちとよく似たスタイルで長年活動されている陶芸家が近所にいるから是非行ったら?と勧められ、その女性作家、Mary Lawさんのお家&工房を訪問することに。オブジェなど独創的なアート作品を作る作家が多いアメリカでは珍しく、ずっとfunctional ware(食器)一筋にやっておられる女性作家さんらしい。
玄関のベルを鳴らし、ドアが開くと、そこにはきっとお料理たくさんするんだろう、と一目でわかる道具がずらりと並ぶ美しいキッチンが、、、、玄関開けたら大きなキッチンがあるなんて!いきなり共感する。
迎えてくれた少し高齢の素敵な女性、Mary Lawさんは、「桃子って名前、すごく親近感があるわ、ずっと昔に長い間ペンパルとして手紙をやりとりしていた日本人と同じ名前なの」とまるで旧友に再会したかのように優しく笑ってくれた。
工房を案内するよ、と行って、キッチンからバックヤードに出ると、リンゴの樹の下にニワトリ小屋、、、、何やらどこかで見たことがある景色!?!?デジャブ、、、!?てっちゃんが過去の写真を調べると、、、なんとなんと!同じ場所で小さかった娘たちがニワトリと遊んでいる写真や私が Maryさんと工房で話している写真が出てきてびっくり!
そう、私たちは実は2011年にカリフォルニアに来た時も、立ち寄ったギャラリーで紹介されてここを訪れていたのでした - すごく運命を感じる瞬間でした!
彼女の話すことの多くが私達と共通すること(料理が好きで器を作っている、料理をしながら作品づくりの着想を得ている、一つ一つの作品は静かで多くを語らないが、それらがまとまったグループとなることで自分自身の世界観を表現することができる等々)で、世代や暮らす場所は違えど、この人の中にも同じ血が流れていると確信し、胸にこみ上げてくるものがあって、本当に感動的な時間でした。
<Demonstration - デモストレーション>
The Potters' Studio のメンバーの皆さんの前で、私の絵付けの方法を見ていただきました。
緊張して、言葉に詰まったり段取りが悪かったり、焦ってばかりでしたが、参加者の皆さんの温かいサポートもあり、なんとかやり遂げました。私がちょっとでも困った様子を見せると、どうしたどうした??とすぐに助け舟を出してくれた皆さん(どっちが先生かわからない状態、笑)、本当にありがとうございました!
<Workshop - ワークショップ>
ワークショップでは、まず、スライドショーで信楽の街の様子や焼き物作りの今昔をざっくりと紹介。それから、お皿に絵付けをする作業を体験してもらいました。
私がデザインしたテンプレートを渡して、あらかじめ用意しておいたお皿にハスの模様の絵付けをしてもらいました。テンプレートを見ながら好きな色を塗り、細い針で模様を刻んで、それぞれの飾り皿を作られました。針で細い線を引いていく作業は、静かに自分と向き合うことができて心が落ち着く、という嬉しいコメントもいただきました。
人前で作業工程を見てもらったり、いつも一人でやっている作業を多くの方と共有したり、初めての体験で戸惑うことも多かったけれど、皆さんとても楽しそうで良かったです。
それぞれの今後の作品作りに活かせるヒントを少しでも持ち帰っていただけていたら幸いです。
<Good-bye Berkeley>
お世話になった The potters' Studio の皆さん、ありがとうございました。
最後の目的地、LAへ向かう前にさよならBBQ会を開いていただきました。
今回の旅で得た一番の宝物は、バークレーに暮らす魅力的な人達との出会いでした。
2週間弱という短い滞在期間中に、自分の好きなことに人生をかける多くの素敵な方々と関わりを持つことができました。例え見たことも聞いたこともないような事でも、良いと思えば積極的に受け入れる風土がある、この街が世界中からクリエイターを惹きつける秘密に少し触れられたような気がしました。これから先、そんな方々からもらったキラキラしたエピソードや言葉を、折に触れて思い出すこことでしょう。そして、それこそが、私たち自身の人生を豊かにしてくれる大きな要素であることは間違いと思います。
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